2008年9月のリーマンショック以前は99円まで上昇したことがあったトルコリラ。
2016年10月現在、実に3分の1の33円程度になっています。ここまで下落してしまってもまだ投資に値するのか・・・。

投資に向かないという方は3分の1まで下がった価格を指摘されるだろうし、
いや、まだ投資する価値があるという方は、高金利であることを上げるでしょう。

そしてさらに、投資に向かないという方は、日本はデフレで物価が下がっており、対するトルコはインフレで物価上昇が続いているため、円の価値は上がりトルコリラの価値は下がり続けると主張されたりします。

トルコイメージ写真
写真著作者: j0sh

しかし、それだけでしょうか。

一見、投資に向かなそうなこのトルコリラ。
はたして本当に投資に向かないのかどうかを徹底検証してみたいと思います。
今回、投資に向くかどうかを以下のように判定しています。

◎:投資するに十分
○:普通に投資できるレベル
△:投資にはやや不安
×:投資に値しない

1,政策金利○

初めに政策金利を見ていきたいと思います。
2008年のリーマンショック少し前からの政策金利の推移です。

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 平均金利
2008年 15.50 15.25 15.25 15.75 15.75 16.25 16.75 16.75 16.75 16.75 16.25 15.00 16.00
2009年 13.00 11.50 10.50 9.75 9.25 8.75 8.25 7.75 7.25 6.75 6.50 6.50 8.81
2010年 6.50 6.50 6.50 6.50 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 6.50 6.79
2011年 6.25 6.25 6.25 6.25 6.25 6.25 6.25 5.75 5.75 5.75 5.75 5.75 6.04
2012年 5.75 5.75 5.75 5.75 5.75 5.75 5.75 5.75 5.75 5.75 5.75 5.50 5.73
2013年 5.50 5.50 5.50 5.00 4.50 4.50 4.50 4.50 4.50 4.50 4.50 4.50 4.79
2014年 10.00 10.00 10.00 10.00 9.50 8.75 8.25 8.25 8.25 8.25 8.25 8.25 8.98
2015年 7.75 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50 7.52
2016年 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50 7.50

過去の2008年にはきわめて高金利の16.75%の時もありました。
その時期、低金利の日本円を売って高金利通貨に投資する、いわゆる円キャリートレード全盛期で円安傾向でした。

その時期にサブプライムローン問題をきっかけにした、リーマンショックからの金融危機がおこってしまったため、僅か1ヶ月という短期間で84円から54円と誰も予想しなかった値下がり幅となりました。
この値下がり幅が、投資するには危険すぎる。という印象を強くしているのだと思われますが、円キャリートレードが拍車をかけた状況にあり、現在とはかなり異なった状況ではなかったかと思っています。

リーマンショック時のトルコリラ円のチャート

2016年10月現在はどうでしょう。
リーマンショック直後の54円から、さらにだらだらと下がり33円程度になっています。

2007年から2016年現在までのトルコリラ円のチャート

ただ、ここでの期間は2008年から2016年まで8年間かかっています。
トルコリラの価格は61%になっていますが、その期間の政策金利の平均は7.46%ありますので、8年間の金利のみで、資金は1.0746の8乗で1.78倍になります。

リーマンショック後からトレードを開始し、低レバレッジの取引で保有だけでなくトレードもしていたとすると口座が破綻するような状況にはならず、むしろプラスなっているかもしれません。

また、現在低金利の通貨は円だけではなく、ユーロ(0%)やドル(0.5%)も低金利です。しかもレバレッジをかけたキャリートレードはそれほど行われていませんので、この33円程度から一気に価格が半分になる状況は難しいのではないかと見ています。したがって政策金利に限っては○と判定いたします。


2,ボラティリティ変動率△

前記のチャートを見るとわかるように2010年〜2016年は、56円〜33円くらいで下落傾向です。
レンジでボラティリティが高いことは問題ないのですが、右肩下がりなのはかなり気になるところです。
さらに以前の状況は「1,政策金利」の項目で説明したとおり、円キャリー全盛でしたので99円の時もありました。その部分を排除しても過去のチャートが右肩下がりなのはデメリットです。

ただし、これからはどうなるかわかりません。
日本の人口は減少し、国力はどんどん下がっていきます。この先も円高傾向が続くかどうかはかなり微妙だと思っています。これについては後ほど考察します。
とりあえず、ボラティリティに関しては△と判定いたします。


3,ビックマック指数(物価)×

物価をみて、現在のトルコリラの価格が対円で最安値かどうかを考えてみたいと思います。
今回は、物価を検証する指数として、よく知られているビックマック指数を紹介します。
ビッグマック指数は各国の経済力を測るための数値で、イギリスの経済誌The Economistが1986年から毎年発表しているものです。

このビックマック指数だけを見て、その国の物価を完全に評価できるかというと少し問題あるかもしれませんが、世界各国でビックマックは販売されているので物価水準を評価するのに好都合ということで取り上げます。

それによるとトルコのビックマック指数は29位となっています。

29位 3.53ドル 360円 10.75トルコリラ(2016年)(1ドル=102円)

ちなみに日本の順位は31位でほぼ同じ水準です。
※為替レートの変動のため集計時の(1ドル=105円)で計算すると370円となります。

日本はインフレ率2%を目指していますがほぼ0%(2016年)。
一方トルコは9%(2016年)。

物価だけ見るとこの先もトルコリラの価値は下がる可能性があります。
おそらく、この物価が最大の問題点でしょうね。トルコは2005年1月1日にデノミ(デノミネーション[通貨単位を変更:切り上げ])を行っていますので、今後も物価上昇が異常な状況にならないかどうかを注視する必要があります。もし、物価が異常なことになるようであれば、投資している最中であっても、すべての資金を引き揚げる必要があると思います。
日本の物価もこの先どうなるかわかりませんが、物価に関しては×と判定いたします。


4,人口の推移◎

人口の推移情報:世界銀行

2015年の推計で人口は78,665,830人(情報:世界銀行)で右肩上がりです。
また、人口ボーナス期が2020年〜2030年にかけて続くことも消費拡大につながりますのでプラス材料です。
※人口ボーナス期とは15~64歳の生産年齢人口が、それ以外の従属人口(0~14歳、65歳以上の人口)の2倍以上ある状態。(日本大百科全書)

人口ボーナス期が1990年代初頭で終わり、人口減少に入っている日本とは違い非常に評価できるところです。
人口は◎と判定いたします。投資しするに十分な数値です。


5,出生率○

出生率の推移情報:世界銀行

2014年の推計で2.1(情報:世界銀行)。右肩下がりです。
ただし減少率は緩やかになっており、2を超えていますので深刻な状況ではないと見ています。
世界平均も右肩下がりで2.45(2014年)ですので○と判定いたします。


6,経済状況○

経済状況GDP推移情報:世界銀行

2000年以降のGDP伸び率は著しく、2001年の1960億USドルから2015年7180億USドルまで3.66倍まで増加しています。
2014年あたりからの若干の停滞は見られ不透明感が強いとはいえ、人口増加などに支えられるため、まだまだ期待できるのではないでしょうか。

しかし、欧州、中東、中央アジア、ロシアといった巨大経済圏と隣接しているためその影響も大きいと思われます。
ロシア機撃墜による対露関係の悪化や、昨今ささやかれているドイツ銀行の破綻。ブレグジット(イギリスのEU離脱)。原油安による中東、ロシア等の経済の停滞がどう影響してくるかは、注目しておく必要があります。

また、米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは23日、トルコのソブリン格付けをジャンク級「Baa3」から「Ba1」に引き下げました。
それを受けて、トルコのエルドアン大統領は、ニューヨークでのブルームバーグとのインタビューで、格付け会社が政治的バイアスのために誤った判断をしていると批判し、同国が格下げされても「全く気にしない」と発言しています。(情報:ブルームバーグ)

トルコ国債については、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も7月に投機的水準に格下げしており、気になるところではあります。
ただ、客観的に見てまだ人口増加中の発展途上の国です。経済状況に関して安定度は△かもしれませんが、先の発展性を考慮して○と判定いたします。


7,政治△

2016年現在、トルコ政治情勢は不安定な時期にあるといえます。
・ロシア軍機がトルコ軍機に撃墜。
・2016年7月15日、トルコ軍の一部勢力が国営テレビ局を占拠して「憲法に基づく秩序と民主主義を取り戻す」との声明とともにクーデターを起こす。しかし、数日で失敗。
・非常事態継続中。
・エルドリアン大統領のメディア弾圧。
政治については、現在のエルドアン大統領次第という側面が強いので△と判定いたします。


レバレッジをかけないコツコツ投資で

このように、強弱いろいろな側面を持つトルコですが、投資する価値があるかというと、あると思います。ただし物価に関しては要注意です。
本来、投資とは発展性のあるところに行うものと思っています。
トルコは不安定ですが、人口が増加傾向で経済が拡大する可能性があります。

反対に日本は人口減少期に入っており2050年の日本の人口は9708万人(2016年版高齢社会白書より)と予想されています。
人口が減ってきますから、経済の拡大は望めません。
そろそろ円が売られはじめる時期にさしかかっているかもしれません。
政府日銀がインフレ政策を本気ではじめたら一気にインフレが加速する可能性もあります。

しかし、投資を始める時期はきわめて重要で、今すぐに始めてよいかというと微妙です。

現時点(2016年10月)トルコリラは過去最安値付近ではありますが、米ドルが利上げサイクルに入っていますので対ドルで売られやすくなっています。よって対円でも安くなる可能性があります。
また、ダウが過去最高値付近にあることも危険です。ダウが下がり始めたとき一気に高金利通貨は売り込まれる可能性があります。

現在アメリカの景気は6年以上拡大しているので、景気循環の周期からしてもそろそろ景気後退の時期にさしかかる可能性があります。各国が金融緩和をしている状態で景気後退にさしかかったとき、どのような金融政策をとってくるのか、本当に打つ手があるのか。また、そのときの為替はどのようになるのかを見極める必要があると思われます。

では、どのような時期にトルコリラに投資を始めればよいのか?
米ドルが利上げサイクルを止めたときで、さらにダウが下がりきって上昇し始めたときが理想的な気がします。

その状況になるには、 後数年は様子をみたいところです。もし、トルコリラに投資するのであれば、レバレッジをかけないコツコツ投資でリスク管理を厳格に行う必要がありそうです。


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トルコリラ以外で投資を始められる方

トルコリラはリスキーな面もありますが、
世界の基軸通貨の米ドルなどに投資される場合はこちらの記事も参考にしてみてください。