高金利で魅力的な「南アフリカランド」ですが、この通貨、はっきりいって相当な暴れん坊です。

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写真著作者: emiliokuffer

ボラティリティー(価格変動)が小さくておとなしい時期もあるのですが、油断していると突然価格が下がり始めそれが長期にわたったりします。
例)2008年1月から2009年1月(16円→8.5円まで下落)
例)2015年7月から2016年9月現在まで(10円→7円まで下落)

この通貨は値頃感で立ち向かうのは少し危険な気もしますが、低レバレッジで取引すれば、高金利を味方に投資できる可能性があります。ただし、絶対に高値圏で取引を開始しない方がよいと思います。もちろん対円で買いの取引の場合です。

それでは具体的に投資に向くかどうかを見てみましょう。


1,政策金利◎

政策金利は現時点で7.00%(2016年9月現在)あり十分です。過去には12%だった時期もありました。
取引業者にもよりますがレバレッジ1倍の通貨保有で、スワップ益だけで年利7%近い運用が可能と思われます。


2,ボラティリティ変動率△

2010年〜2015年夏までは、9円〜11円くらいで比較的安定していましたが、それ以前の状況を見ると2005年には20円ほどの時もあり、さらに最近は6.3円と過去最安値を更新しています。
ボラティリティが大きいことは為替差益が大きく得られますので、低レバレッジの運用においてはメリットですが、過去のチャートが右肩下がりであることが、(ランド/円)を“買い”で取引する場合に大きなデメリットです。
では、「売ってはどうか?」高金利通貨を売るのはたとえ過去が右肩下がりだからといっても、精神的に難しいのではないかと思います。


3,経済状況○

IMFの統計によると、2013年のGDPは3,508億ドルである。一人当たりのGDPは6,621ドルで、アフリカ全体では7位に位置する。購買力平価ではそれぞれ6,626億ドル、12,506ドルとなる。
情報:ウィキペディアより

南アフリカは豊富な資源国で、金、ダイヤモンド、プラチナ、ウラン等を産出しています。特に金は世界の産出量の半分を占めています。また、主要新興国BRICs(ブリックス)の一国でもあり、今後の経済発展が期待されているところは評価できます。
資源国通貨であるためこの先極度に通貨安になるとは考えにくいですが、過去のチャートが右肩下がりなので最安値がどのあたりなのかを確認する必要がありそうです。


4,ビックマック指数(物価)○

物価をみて、現在のランドの価格が対円で最安値かどうかを考えてみたいと思います。
今回は、物価を検証する指数として、よく知られているビックマック指数を紹介します。
ビッグマック指数は各国の経済力を測るための数値で、イギリスの経済誌The Economistが1986年から毎年発表しているものです。

このビックマック指数だけを見て、その国の物価を完全に評価できるかというと少し問題あるかもしれませんが、世界各国でビックマックは販売されているので物価水準を評価するのに好都合ということで取り上げます。
それによると南アフリカのビックマック指数は52位となっています。

52位 1.77ドル 185円 28.00ランド(2016年)(1ドル=105円)

ちなみに日本の順位は31位で、もはや物価の高い国ではありません。
日本の物価の方が安いのであれば、対円でランドがもっと安くなる可能性が高いと思われますが、 対円で物価が安いのであれば、この先売り込まれる可能性が低いようにみえます。


5,人口○

2015年の推計で人口は54,956,920人(約5496万人 情報:世界銀行)で右肩上がりです。
日本の半分くらいの人口があるところは評価できるのですが、犯罪率が高く人口増加率が低く、さらに平均寿命が57歳(2014年推計)くらいであるところは余り評価できないところです。

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情報:世界銀行

ウィキペディアの情報は少し古いです。平均寿命は2014年に57歳にまで回復しています。

エイズによる死者や白人層の国外流出が多いため、他のアフリカ諸国に比べると人口増加率は低く、2008年には人口が減少している。平均寿命も年々低下しており、かつて60歳代であった平均寿命は、現在では40歳代(2009年推計で48.98歳) にまで低下した。
情報:ウィキペディアより


6,出生率○

出生率を検証してみます。
それによると2.4(2014年)で2を超えてはいますが右肩下がりです。エイズの蔓延を抑え平均寿命がさらに延びれば、人口減少には陥らない可能性があります。

出生率については世界平均も右肩下がりで、世界平均が2.45(2014年)ですのでほぼ同レベルといえます。

人口減少でいえば日本の方が少子高齢化が進み2050年には9708万人(2016年版高齢社会白書より)と予想され、ずっと深刻です。対円においては南アフリカランドがもっと売り込まれるかどうかは微妙なところと思われます。

南アフリカ出生率 情報:世界銀行

ウィキペディアの情報は少し古いですね。平均寿命は2014年に57歳にまで回復しています。

HIVの陽性率は非常に高く、15 - 49歳のHIV感染率が21.5% (2004 Report on the Global AIDS Epidemic (UNAIDS/WHO))、妊産婦HIV感染率が29.5% (2005 Report on the Global AIDS Epidemic (UNAIDS/WHO)) となっており、国民の約4 - 5人に1人の割合でHIVに感染している。エイズの蔓延によって、2010年までに国民全体の平均寿命は40歳以下に低下すると予想されている。
情報:ウィキペディアより


総評として

現時点(2016年9月)は過去最安値付近ではありますが、投資開始に向く時期なのかどうかを考えると、正直微妙な気がします。
まず、現在は米ドルが利上げサイクルに入っている。これでは対ドルで売られやすくなっています。また、ダウが過去最高値付近にあることも危険です。ダウが下がり始めたとき一気に高金利通貨は売り込まれる可能性があります。

さらに現在、アメリカの利上げサイクルの影響が大きいとは思いますが、各国金融緩和を行っておりリスクオン状態にある(本来であれば新興国通貨は買われやすい状況)にもかかわらず南アフリカランドは対円で下がってきています。

アメリカの景気は現在6年以上景気拡大しているので、景気循環の周期からしてもそろそろ景気後退の時期にさしかかる可能性があります。このリスクオンの状態で景気後退にさしかかったとき、各国どのような金融政策をとってくるのか、本当に打つ手があるのか。また、そのときの為替はどのようになるのかを見極める必要があると思われます。

では、どのような時期に南アフリカランドに対して投資を始めればよいのか?

米ドルが利上げサイクルを止めたときで、さらにダウが下がりきって上昇し始めたときが理想な気がします。 その状況になるには、後数年は様子をみたいところではありますが、レバレッジをかけないコツコツ投資であれば、少しずつ初めてもよいかもしれません。


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