アベノミクスの強力なアシスト役として就任した「黒田東彦」日銀総裁。
量的質的金融緩和で市場を驚かし、かつては「黒田バズーカ」といわれ円安と株高を加速し飛ぶ鳥を落とす勢いでしたが、それはもう過去の話。

2015年後半以降その威力は急速に衰えはじめ、
2016年4月28日の金融政策決定会合の発表にいたっては、金融政策の現状維持を発表直後、
日経平均先物を一時900円もたたき落とし、逆バズーカと呼ばれました。
また、ドル円は111円80銭あたりから108円80銭まで一気に3円近く円高になりました。

しかし、本当に逆バズーカでしょうか。
確かに株安は痛手ですが、庶民、特に若者は株の取引などしていないのでほとんど関係なく
円高は歓迎なはずです。
なにしろ海外に安く行けるし、物価は安くなりますから・・・。

それに、円高は国の価値を高めるわけで、決して悪いことではありません。
日本は、すでに人口減少という未知の領域に入っており、国力は低下しつつあります。国の通貨を高めるのは、日銀の仕事としてふさわしいのではないでしょうか。

そして、2016年9月21日の、金融政策決定会合発表後の黒田総裁の記者会見で、円相場が90銭近く円高方向に触れました。黒田総裁は不本意かもしれませんが、ようやく庶民の方を向き始めているような気がします。

黒田総裁の記者会見での発言と円相場の相関関係を調べて、今のマーケットが日銀に何を期待しているのかを分析してみたいと思います。

ドル円チャート

なお、発言内容の詳細は日本銀行ウェブサイトにある「総裁記者会見要旨」を元にしています。
また、THE PAGEのYouTubeの動画を参考にして、値動きの大きかった時間帯の発言を調べてみました。

15時31分 黒田総裁の存在がドル円レートを押し下げる


①の最初に値動きの大きかった時間帯について検証します。
この時間帯の発言を調べてみると、黒田総裁が会見室に入ってきたのが29分くらいで30分に毎日新聞の記者が質問しました。
そして31分少し前から黒田総裁が会見を始めました。つまり、黒田総裁がしゃべると同時にドル円のレートを102円55銭付近から102円25銭付近まで30銭ほど為替を円高方向に誘導しました。もはや、内容はともかく総裁の存在自体に反応するんですね。

その後会見が進むと徐々にドル円のレートは落ち着いてきましたが、円安方向に向かうことはほとんどありませんでした。
最初の会見で総裁は、「総括的な検証」を行いその結果「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」を実行すると説明しています。

以下この時間帯の全文です。

(問:毎日新聞の記者) 本日の「総括的な検証」の結果、そして本日決定の新しい政策枠組みについて――そこにフリップがありますが――ご説明下さい。

(答:黒田総裁) 本日の決定会合では、「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果について「総括的な検証」を行いました。その検証結果を踏まえて、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、金融緩和強化のための新しい枠組みである、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定しました。
 新しい政策枠組みは、2つの要素から成り立っています。第1に、金融市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、第2に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」です。
 まず、「イールドカーブ・コントロール」です。「総括的な検証」で示した通り、「量的・質的金融緩和」は、経済・物価の好転をもたらし、その結果、日本経済は、物価の持続的な下落という意味でのデフレではなくなりました。その主たるメカニズムは、実質金利低下の効果です。これを長短金利の操作によって追求する「イールドカーブ・コントロール」を、新たな政策枠組みの中心に据えることとしました。
 今後は、毎回の決定会合で決定・公表する「金融市場調節方針」において、日本銀行当座預金に適用する短期金利、および10年物国債金利の操作目標、の2つの金利水準を示します。日本銀行の国債買入れは、買入れ額の「めど」を示したうえで、長期金利の操作方針を実現するように運営いたします。なお、買入対象については、引き続き幅広い銘柄とし、平均残存期間の定めは廃止しました。
 今回の決定会合では、概ね現状程度のイールドカーブをイメージして、短期政策金利を-0.1%とするとともに、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう長期国債の買入れを行うこととしました。また、買入れ額は、年間増加額約80兆円をめどとしました。
 「イールドカーブ・コントロール」を実現する手段としては、主として「政策金利残高に対するマイナス金利の適用」と「長期国債の買入れ」を使っていきます。この2つの組み合わせがイールドカーブ全般に影響を与えるうえで有効であることは、マイナス金利導入以降の経験で明らかになっています。加えて、金利操作を円滑に行うため、新しいオペレーション手段を導入しました。すなわち、日本銀行が指定する利回りによる国債買入れ、いわゆる「指値オペ」を導入するほか、固定金利の資金供給オペレーションを行うことができる期間を現在の1年から10年に延長します。金利が現状程度のイールドカーブの水準から大きく変動することを防止するため、金利が上昇した場合などには、10年金利、20年金利などを対象とした指値オペを直ちに実施する用意があります。
 「イールドカーブ・コントロール」を中心とする新しい枠組みでは、マネタリーベースや国債保有残高の増加ペースを操作目標とする従来の枠組みに比べて、経済・物価・金融情勢の変化に応じてより柔軟に対応することが可能です。結果として、政策の持続性も高まるものと考えています。
 次に、「オーバーシュート型コミットメント」について説明します。日本銀行は、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続するという新しいコミットメントを導入しました。
 2%の「物価安定の目標」を実現するためには、人々のデフレマインドを抜本的に転換し、予想物価上昇率を引き上げる必要があります。この点、「総括的な検証」でも示したように、わが国における予想物価上昇率の形成は依然としてかなりの程度「適合的」であり、足許の物価上昇率に強く引きずられる傾向があります。こうしたことを踏まえ、予想物価上昇率をさらに引き上げていくためには、金融緩和の継続に関する極めて強力なコミットメントを導入することによって、「物価安定の目標」の実現に向けた日本銀行の揺るぎない姿勢を改めて示すことが必要であると判断しました。
 もともと2%の目標を実現するということは、景気変動などを均して平均的に2%を実現するということですから、2%をオーバーシュートする局面は想定されています。しかし、金融政策には効果が現れるまでにラグがあることを踏まえると、実際に2%を超えるまで金融緩和を続ける、というのは極めて強いコミットメントです。
 日本銀行が供給しているマネタリーベースの対名目GDP比率は既に80%程度に達しています。新しいコミットメントのもとで、現在の調節方針に沿って金融緩和政策を継続すれば、あと1年強で100%を超える見込みです。この水準は、米国や欧州の20%程度をはるかに上回っており、日本銀行の金融緩和がいかに大規模なものであるかをご理解頂けると思います。
 日本銀行は、今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要と判断すれば、躊躇なく、政策の調整を行います。具体的な追加緩和手段としては、「イールドカーブ・コントロール」における短期政策金利や長期金利操作目標の引下げのほか、「量的・質的金融緩和」以来実施してきた資産買入れの拡大が考えられます。また、状況に応じて、マネタリーベースの拡大ペースを加速させることを手段とすることもあります。その場合には長期金利の大幅な低下を伴うと考えられますが、そうした強力な緩和が必要となる状況もあり得るということです。
 日本銀行は、新たな政策枠組みのもとで、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、従来よりも一段と強力な金融緩和を推進してまいります。

(問:毎日新聞の記者) まず、今回の政策の枠組みの変更によって2%を達成できるのかという市場の懸念は残ると思いますので、どのような道筋を描いていらっしゃるのかをご説明頂きたいと思います。特に、適合的なインフレ期待という話もありましたが、賃上げなどの要因もあると思いますので、政府との連携、財政面なども含めて、ご所見を伺いたいのが1点目です。2点目ですが、今回の一連の「総括的な検証」に関しては、市場との対話を重視されてきたと思います。ただし、今回新しく長期金利目標が加わることによって、いわゆる政策反応関数は複雑になると思うのですが、今後そうした面での対話について、どういった姿勢をとっていかれるのか、お伺いします。

(答:黒田総裁) 「量的・質的金融緩和」の導入後、既に3年以上が経過していることは事実でありますけれども、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するとの方針に全く変化はありません。

日本銀行:「総裁定例記者会見(9月21日)」より


最初の回答は8分ほど続き、その時間帯を通じてほぼ一貫してドル円のレートは下げています。
その後、時事通信社、日経新聞の質問に答えていますが、ドル円相場は反応していませんので、この時間帯の分析は省略します。

16時15分 緩和の手詰まり感で市場は反応する


②の値動きの大きかった時間帯。
16時15分くらいからの共同通信の記者に対する黒田総裁の回答にドル円のレートは大きく下げています。
この時間帯で総裁は、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の悪影響を指摘され、「イールドカーブ・コントロール」を追加することによって緩和の強化をすること、さらに、外債購入については日銀は行わないと説明しています。
市場は今回の「イールドカーブ・コントロール」「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」では余り緩和にはならないと解釈しているのかもしれません。

以下この時間帯の全文です。

(問:NHKの記者)今回、従来の枠組みをさらに強化したということで、当然総裁任期中のデフレ脱却が十分可能だと考えるのか、これが1点です。
 もう1つは、今回の「イールドカーブ・コントロール」導入の背景に、金融機関の収益圧迫、個人の資産運用への懸念の高まり、あるいは批判の声もあったと考えてよいのでしょうか。

(答:黒田総裁)2%の「物価安定の目標」がいつ達成されるかということは、展望レポートで毎四半期示しており、最新の展望レポートでは、2017年度中ということになっていますが、同時に様々な不確実性が大きいということも示していま
す。
 2点目については、半分当たっており、半分当たっていないというところでしょうか。この「総括的な検証」の中でも、マイナス金利の効果と影響について示しています。先程来申し上げている通り、イールドカーブ全体が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとで非常に大きく低下し、それが貸出や社債の金利などの低下にしっかりとつながったということが挙げられます。それから、金融機関の貸出態度は引き続き積極的であり、これまでのところマイナス金利のもとで金融環境は一段と緩和的になっており、はっきりポジティブに効果があったと言っています。もっとも、貸出金利の低下は金融機関の利ざやを縮小させることで実現しているため、更なる金利低下に伴う貸出金利への波及については、金融機関の貸出運営方針にも依存しますので、金融機関の収益への影響について留意しています。また、先程申し上げたように、イールドカーブの過度な低下・フラット化は、広い意味での金融機能の持続性に対する不安感をもたらし、マインド面等を通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性があると、「総括的な検証」で言及しています。そういったことも考慮したのは事実ですが、だからといって金利がこれ以上下げられないとか、「量的・質的金融緩和」がこれ以上拡大できないということは全く言っておりません。

(問:NHKの記者)総裁の任期中にデフレ脱却ができるかどうかについては、不透明と言うか、はっきり分からないということでしょうか。

(答:黒田総裁)現在の展望レポートでは、2017年度中に2%程度に達する見通しであると書いています。ただ、不確実性が大きいということは言っています。

(問:共同通信の記者) 今の点にも関連するのですが、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入された直後、総裁はこれは世界の中銀史上で最も強力な枠組みであるとおっしゃっていたと思います。今回の枠組み修正は、半年強経って、今おっしゃったような悪影響がみえてきた中で、それを踏まえて修正を図るということですので、もともと最強の枠組みでもなかったということなのかというのが1点です。
 外債購入についてですが、今回市場で一部観測が出ましたが、改めて、今後「質」の強化の中で検討対象となり得るのかどうかお考えを聞かせて下さい。

(答:黒田総裁) まず第1点につきましては、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が「量的・質的金融緩和」を超えて、金利という次元を追加して3次元の極めて強力な金融緩和の枠組みであるということはその通りであると今でも思っております。その上で、先程来申し上げている通り、経済に対する最も大きな刺激効果というのは実質金利の引下げであることは事実なわけです。そういった面では、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」は強力な効果を持ったわけです。ただ、その一方で、先程来申し上げているような論点もあるのは事実であり、従って今回の「イールドカーブ・コントロール」、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」によって、これをさらに強化したということです。2番目の点につきましては、ご案内の通り、日本銀行法上、外国為替相場の安定を目的とする外国為替の売買は、国の事務の取り扱いをする者として行うものとされています。従ってそうした外国為替の売買については、法律上、財務大臣が一元的に所管されていると理解しています。

日本銀行:「総裁定例記者会見(9月21日)」より

16時31分 国債買入れのペースに増減がある


③の値動きの大きかった時間帯。
予想物価上昇率が低下した原因は新興国の経済減速や原油価格の下落による外的要因が大きく、予想物価上昇率維持のために「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入したが失敗したこと。さらに国債買入れの量は増減があることを説明しています。

そろそろ、緩和の出口戦略が検討する時期なのかもしれません。市場はそのニュアンスに敏感に反応するのでしょう。

以下この時間帯の全文です。

(問:朝日新聞の記者)先程、総裁からマネタリーベースのグラフで説明を頂き、現状がGDPの約80%で、米国等を上回る緩和を日銀はしてきたというお話でした。そもそも3年半前に「量的・質的金融緩和」を始めたときには、総裁ご自身が、2年でマネタリーベースを2倍にしてデフレマインドを払拭していくと力強くおっしゃっていたと思いますが、それが結局、ここまでの緩和を続けてマネタリーベースを増やしていても、現実としては色々な外的要因があったとして達成できておりません。このマネタリーベースの量と物価目標の関係を、現時点でどのようにお考えなのか教えて下さい。

(答:黒田総裁) 「量的・質的金融緩和」を導入した際にも申し上げた通り、マネタリーベースの拡大ということ、その裏腹で国債を幅広く――長期のものも含めて――買っていくことによってイールドカーブ全体を引き下げ、実質金利を下げ、経済・物価に好影響をもたらすことが1つ指摘できます。もう1つは、そうした強いコミットメントによって、予想物価上昇率を押し上げていくという2つのメカニズムをご説明しました。それはその通りで、今回の「総括的な検証」の中でもかなり詳しく示されている通り、2013年4月に導入して、2014年の夏頃まで順調に機能し、予想物価上昇率も上がりましたし、需給ギャップも縮んで物価上昇率も1.5%まで上昇しましたが、ご案内の通り、2014年の夏頃から原油価格が急速に下落を始めたということです。そうした中で、「適合的な期待形成」があることを踏まえて、モメンタムを維持するという観点から「量的・質的金融緩和」を2014年10月に大幅に拡大したわけです。そのもとで、これも「総括的な検証」の中でかなり詳しく分析していますが、予想物価上昇率自体は比較的維持されました。足許の物価上昇率は、原油価格の下落に従って下がっていったのですが、そのもとでも、比較的、予想物価上昇率自体は維持されていました。それが昨年の夏あたりから、新興国の経済減速あるいはその不透明性やそれを巡る市場の変動等があって、予想物価上昇率が弱くなっていきました。そうしたもとで、今年1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入したのですが、これによって予想物価上昇率の低下を押しとどめるには至らなかったことはその通りです。従って、まさにご指摘の点が今回の「総括的な検証」のポイントなのですが、経済・物価について好循環に結び付くような改善がみられましたが、それがその後の色々な状況によって、物価上昇率2%という目標が達成されていないことも事実です。そのうえで何が必要かということを「総括的な検証」から得られるものとして、「総括的な検証」の「基本的見解」の「示唆される政策の方向性」に書いてあることが議論され、今回の決定に至ったということです。

(問:ロイターの記者)2つ伺います。イールドカーブの適切な水準については、口頭で毎回説明するだけなのか、均衡イールドカーブのようなものを見せるのか、均衡イールドカーブより若干下めのレンジを示されるのか、教えて下さい。
 2つ目は、国債買入れの量ですが、増減すると思いますが、毎回のディレクティブで80兆円とか70兆円とか書くのか、おそらくそんなにたくさん買わなくても維持できると思いますが、30、40兆円と書くと厳しい見方をされ藪蛇になるような気もしますが、その辺りのご見解をお願いします。

(答:黒田総裁) イールドカーブについては、公表文にも書いてある通り、あくまでも金融市場調節方針としては、当座預金に対する政策金利――今回は-0.1%――と10年物国債金利――今回は現状程度、0%程度――をイールドカーブの2つの起点として示しています。その間にどういうイールドカーブの具体的な形が出るかは、バランスよく短期・中期・長期・超長期と買っていくので、今のイールドカーブと非常にかけ離れたものになるとは思っていませんが、イールドカーブの形状を、2年・3年・4年・5年とずっと曲線を決めていく必要もないですし、2つの起点を決めることによって全体として適切なイールドカーブになるように国債買入れを進めていくということです。
 国債の買入れ額については、経済・物価あるいは金融市場との関係もありますので増減すると思いますが、今のところ、80兆円のペースで買っているもとで、今のようなイールドカーブで適切ではないかと考えています。大きく増加したり減尐したりすることは見込んでいませんが、今後ずっと固定するということではなく、実際の買入れ額は上下に変動することになると思います。

(問:週間エコノミストの記者)国債買入れのペースに増減があるということですが、これはテーパリングに向けた動きなのでしょうか。2点目は、テーパリングと受け止められないために、資産買入れの拡大をするのだと思いますが、地方債や財投機関債といったところも選択肢から外していないということでよろしいでしょうか。

(答:黒田総裁) テーパリングではありません。テーパリングの定義は色々あると思いますが、米国での議論を踏まえれば、QEの目的が果たされて2%の物価安定目標が実現されるのであれば、国債の買入れを次第に減らしていくという話だったと思います。私どもはまだ2%が達成されていませんし、公表文にもある通り「オーバーシュート型コミットメント」のもとで消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続すると言っていますので、テーパリングでは全くありません。なお、ご指摘のような可能性は論理的にあると思いますが、今そういうことを具体的に考えていることはありません。国債の買入れもまだまだ十分可能ですし、スムーズに入札等も行われています。

日本銀行:「総裁定例記者会見(9月21日)」より

今の量的緩和はそろそろ限界


黒田総裁は否定していますが、市場は日銀の政策に手詰まりを感じており、テーパリングが意識されると円高方向に触れるようです。
それももっともで「IMFの推計では2017年から18年、日経センターの推計では2017年前半には国債購入が限界に達する」。と指摘しており、今の量的緩和はあと1年しか出来ず、手詰まり感は否めないようです。

以上が、9月21日に起きた黒田総裁の発言とドル円相場の関係です。
最後に、今後のドル円相場の見通しを考察してみたいと思います。

今後のドル円相場を考察


2016年9月現在、アメリカの景気拡大が7年続いており、ダウ平均も史上最高値に近いあたりで推移しています。
アメリカは10年前後で景気循環を繰り返していますので、そろそろ景気後退局面に入ってきてもおかしくない状況に来ていると思います。ジム・ロジャーズも日本経済新聞のインタビューで次のように答えています。

向こう数年間は楽観できる要素は何もない。日本や欧州、米国の景気は減速したり、後退局面入りしたりするだろう。米国は景気回復局面がもう7~8年も続いている。循環的に言って、来年のどこかで景気後退局面に入りかねない。米連邦準備理事会(FRB)は今年、一度も利上げできない可能性すらある。
日本経済新聞:2016年3月15日付ジム・ロジャーズインタビューより抜粋

今後景気後退で、一時的にリスク回避のため一時円高になることはあると思いますが、日本は人口減少という未知の領域に入っていますので、長期的に見ると今までのように円高傾向になるかどうかはわかりません。(2050年の日本の人口は9708万人。[2016年版高齢社会白書より])

もともと円高は、日本の人口増加と安定した経済力に裏打ちされた側面もあるかと思いますので、人口減少に転じ経済が拡大しない場合は、円安になっていく可能性も十分ありえると思っています。

すでに日本は技術大国ではありませんし、国力は落ち始めています。そろそろ資産を外貨などに分散させても良いように思います。
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外貨預金手数料:ドル円預け入れ・引き出し:2円=200銭(三菱東京UFJ銀行) FX:手数料ドル円往復:0.006円=0.6銭(DMMFX)

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